2008年1月27日日曜日

3年前弁論大会の内容


親と子の気遣い-カンボジアと日本の比較-

私が阿南高専に編入学して今年で3年目になります。私には、阿南に来た最初の頃からお世話になっているホストファミリーの御夫婦がいます。ここで、仮にAさん御夫妻と呼ばせていただきます。Aさんたちは私をすぐ家に招待してくれ、料理をふるまってくれたり、日本のことをいろいろと教えてくれたりしました。週末のほとんどを、Aさんの家で一緒に過ごし、不安なことや悩みごとなども相談するようになりました。そして、Aさんはいつも私に心配して電話してくれます。Aさんたちはお店を経営しており、私は時間があれば、Aさんたちの仕事を手伝います。Aさん御夫妻は「日本のお父さんお母さん」と呼べる大切な人になりました。

やがて、私自身Aさん御夫妻の子どものように思いはじめました。そんな私には、とても不思議に思えることがあります。それは、60歳代後半のAさん御夫妻が、実の子どもたちと住んでいないことです。カンボジアでは、子どもの誰かが必ず両親と同居し続け、年とった親の世話をするのです。私も、留学が終われば、母国に帰って仕事につき、両親と一緒に住んで世話したいと思っています。そのように考えている私には、Aさん御夫妻と子どもたちの関係が理解できませんでした。日本の親と子どもの関係はどうなっているのでしょうか?

しかし、最近になって少し分かってきたこともあります。Aさんたちはお店の仕事をとても大事にしています。二人の生き甲斐になっているようです。Aさんたちは子どもに頼らず、二人で生活を続けて行きたいようです。それを見守るのが、子どもたちの気遣いのようです。カンボジアであれば、Aさんのような年の親に仕事を続けさせる子どもは、変な子どもと思われます。子どもが、親の年や健康のことを考えて、仕事を辞めさせて世話をするのが、子の親への気遣いです。

私はいつも阿南市国際交流協会の行事やボランティア活動などに参加し、そこで日本の人々からいろいろな話を聞きました。カンボジアと日本の文化や習慣の違いを考えるようになり、日本のことが少し理解できるようになりました。日本では、子どもが結婚したら親と住まない場合が多いようです。ひとつの家にひとつの家族が住むのがほとんどです。しかし、逆にカンボジアでは結婚しても親と住む子どもが多いです。すべての子どもが親と一緒に住むことさえできます。ですから、一軒の家にいくつかの家族が生活を共にし、少なくとも6人、7人の人数になります。

日本の親も年をとったら子どもと一緒に住みたいと思っているはずです。しかし、子どもの迷惑にならないように、離れて夫婦だけでいることが多いようです。それは親から子への気遣いです。カンボジアの親は自分の子どもと一緒にいて、孫ができたら、孫の世話をしたいです。これも親から子への気遣いです。

親と子の接し方は、カンボジアと日本では大きく違うようです。それぞれの国の文化や習慣の違いもあるでしょう。しかし、カンボジア人の私としては、日本でも親の年や健康状態を考えて、子どもが、親と同居して、親の世話をもっともっとしてもらいたいと思います。最近の幼児虐待の事件などはどうして起こるのでしょうか?親と子の愛情に関して、カンボジアのように、おじいさんやおばあさんと一緒にいる家族のいいところに、もう一度、日本の人々にも目を向けて欲しいと願っています。